糖尿病と妊娠 ☆1/3☆
糖尿病はある意味特殊な病気と言えます。
なぜなら自分でも認識していない患者さんが多い病気だからです。
女性の場合ですと、
妊娠を機に初めて血糖値を測って、糖尿病と診断されるケースがあります。
それと同時に皆さん心配されるのが出産へのリスク、赤ちゃんへの影響です。
十分な血糖コントロールができてさえいれば、
リスクを少なく抑えて出産することは可能です。
しかしながらこの場合は
糖尿病専門医と産科、新生児科、
全員が力を合わせてのチーム医療が必要となります。
注意すべきはただひとつ、血糖の変化です。
妊娠中、胎児が成長するにつれてエネルギー消費が増えていきます。
胎盤内からインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されたり、
インスリンを壊す酵素が作られるため、薬が効きにくい状態になり、
血糖値が上昇しやすくなってしまいます。
糖代謝が正常の妊婦の場合は、
すい臓からインスリンを多く分泌して血糖値を上げないように調整できますが、
元々インスリン分泌が少ないかインスリン抵抗性が強い妊婦の場合は
血糖値が上昇してしまうのです。
後者の場合、2つのパターンが存在します。
糖尿病が妊娠前から存在している『糖尿病合併妊娠』と、
妊娠中に初めて発症した糖尿病ではなく
糖代謝異常である『妊娠糖尿病(GDM)』のどちらかです。
GDMにはあきらかな糖尿病は含みません。
あきらかな糖尿病とは、以下のいずれかを満たした場合です。
①空腹時血糖値≧126mg/dl
②HbA1c(JDS)≧6.1% [HbA1c(国際標準値)≧6.5%]
③随時血糖値≧200mg/dlあるいは 75gOGTTで2時間値≧200mg/dl
(いずれの場合も空腹時血糖かHbA1cで確認)
では妊娠中に高血糖が続くとどうなるのでしょうか。
次回はそれについて書きたいと思います。